【晶析装置のスケール】原因と防止策|連続防汚テクノロジーでプラント稼働率を倍増させた方法

オンライン防汚3

こんな方におすすめ

  • ニッケル硫酸塩などの晶析装置においてスケールが頻発し、5日〜1週間といった短期間で1日がかりの熱水洗浄・化学洗浄を余儀なくされている。
  • 晶析プロセス周辺での配管閉塞防止や、熱交換器の汚れ防止対策として、従来の高圧洗浄や薬液洗浄に頼っているが、メンテナンスコストの限界を感じている。
  • 処理能力の低下がライン全体のボトルネックとなり、前段プロセスへの液戻しや、バッチそのものを損失してしまう事態が発生している。
  • 設備を止めずに汚れ対策ができるオンラインテクノロジーを探している。

サマリー

晶析装置や配管のスケールによる生産停止を防ぐには、過飽和による結晶の壁面固着を抑え、堆積前に根本から予防保全を行うことが重要です。
最新の超音波テクノロジーを活用した事例では、設備稼働中も「汚れない状態」を維持でき、事後洗浄に伴うダウンタイムと設備負荷を半減させることができました。これにより、生産サイクルの長期化による連続稼働日数の倍増と、大幅なエンドプロダクト(最終製品)の増産を実現しました。

晶析プロセス・晶析装置の役割とスケールの脅威

晶析(Crystallization)とは、液体溶液や懸濁液から固体の結晶を生成するプロセスのことです。化学、医薬、肥料、金属・鉱物、食品、水処理など幅広い産業において、製品の純度を高め、均一な粒度分布を持つ価値ある最終製品を効率よく製造するために不可欠な技術として利用されています。

目的に応じて、主に以下のような「晶析装置(Crystallizer)」が使い分けられています。

  • 冷却式晶析装置(Cooling crystallizers): 溶液を冷却して溶質の溶解度を下げ、結晶化を促します。温度制御が重要なプロセスで使用されます。
  • 蒸発式晶析装置(Evaporation crystallizers): 溶媒を蒸発させて溶質の濃度を高め、飽和点に達することで結晶を形成させます。
  • MSMPR(混合懸濁・混合製品回収式)晶析装置: 溶液中の結晶の混合懸濁状態を維持し、結晶が過剰に成長するのを防ぎながら連続的に回収します。均一な結晶サイズが求められる産業で一般的です。

晶析装置は効率的に結晶を成長させ生産性を向上させる優れた設備ですが、同時に「スケール(結晶の壁面固着)」という宿命的な課題を抱えています。過飽和状態の溶液から析出した結晶が設備の伝熱面や配管内壁に付着・成長すると、熱伝達効率が著しく低下し、晶析装置本来のパフォーマンスを発揮できなくなります。放置すれば配管の閉塞を引き起こし、これらを取り除くための手作業での洗浄や頻繁な設備のシャットダウン(生産停止)が、プロセス全体の深刻なボトルネックとなります。

スケール・汚れが発生する主な原因

晶析プロセス周辺においてスケールやファウリングが発生するメカニズムは、主に以下の要因に分類されます。

原因 発生条件 主な影響
過飽和状態での局所的な結晶化 伝熱面付近など、温度や濃度変化が大きい箇所で過飽和度が高まる。 壁面を起点とした無機塩などの結晶の成長・固着(スケーリング)、熱伝達効率の低下。
凝集体の形成と沈降 過飽和度が高い領域で溶液中の微細な結晶が凝集し、配管の曲がり部や流速の遅い箇所に滞留する。 プロセス液の流量低下、配管閉塞、ポンプやバルブへの物理的負荷増大。
頻繁な起動・停止による不安定化 洗浄のための設備停止と再稼働を繰り返すことで、プロセス内の温度・圧力が変動する。 晶析品質のばらつき、バッチの完全損失、前段設備への液戻しによる生産のボトルネック化。

晶析プロセスにおける超音波防汚テクノロジーの作用メカニズム

高圧水や化学薬品を使用する「汚れてから洗う」事後保全では、稼働停止による機会損失、環境負荷や高経年化設備へのダメージ、作業員の安全リスクといった課題が顕在化しています。晶析装置においてスケールを根本から防ぐ最大の鍵は、「過飽和度のコントロール」と「壁面への結晶固着の阻止」にあります。

これを解決するアプローチとして、フィンランドのクリーンテックベンチャーであるAltum Technologies社が開発し、日本では日鉄エンジニアリングがスマート保全サービス「HiPEA EcoFUL(ハイパーエコフル)」として提供している最新の超音波照射技術が存在します。設備稼働中に外部から強力な超音波を照射することで、以下の物理的・化学的現象を引き起こし、スケールを予防します。

  • 横波(ラム波)による壁面への付着抑制(物理的効果):
    設備の外側から照射された超音波が金属表面をラム波(横波)として伝搬し、金属表面そのものを微細に振動させます。この微小な振動が、汚れや結晶を壁面に寄せ付けず、スケールの固着を物理的に防ぎます。

  • 縦波による凝集体の分散・微細化(物理的効果):
    晶析装置内や上流の配管など、過飽和度が高くなる領域では結晶粒子の凝集体が形成されやすく、これがスケール付着の大きな要因となります。金属表面を伝わる振動が内部の液体に伝搬して生じる「縦波」の強力なせん断力が、この凝集体を分散・微細化させることで、配管閉塞を未然に防ぎます。

  • キャビテーションによる液中での晶析促進と過飽和度の低下(化学的効果):
    液体中に超音波を照射すると、粗密波による圧力変化で微細な気泡(音響キャビテーション)が発生します。インラインプロセス顕微鏡を用いた実機環境の検証において、この気泡が「核生成サイト」として機能し、壁面ではなく液中(バルク)での結晶化(晶析)を促進することが確認されています。これにより溶液の局所的な過飽和度が低下し、伝熱面上へのスケール成分の析出・付着を根本から抑制します。

  • 最適照射を実現するマルチチャンネル・ソフトウェア制御:
    設備の材質や厚み、流体状態に応じて超音波の発振をソフトウェアで精密に制御します。設備の外側から必要最小限に最適化された出力のマルチチャンネルで均一な超音波フィールドを形成するため、設備自体へダメージを与えることなく、スケール対策を実現します。

出典:日鉄エンジニアリング株式会社 サービスビジネス本部 スマート生産ソリューション部 稲田教介「HiPEA EcoFUL®*3 の紹介 ~ 超音波技術によるスマート保全サービス ~」

ここからは晶析装置に超音波防汚テクノロジーを導入し、絶大な投資対効果(ROI)を証明したAltumtechnologies社の実例を紹介します。

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