こんな方におすすめ
- 化学工場において、設備を止めずに汚れ対策ができるオンラインの防汚・洗浄テクノロジーを比較・検討したい。
- 配管閉塞や熱交換器のファウリング対応で高圧洗浄を行っており、生産ラインの停止(ダウンタイム)による機会損失を解決したい。
- 従来の化学洗浄(CIP)や高圧洗浄では、環境負荷、コスト、足場設置などの現場負荷が大きすぎる。
- 「設備を止めずに、配管の外側から超音波を当てるだけで汚れを防ぐ」という新しい技術について、その原理や信頼性を詳しく知りたい。
サマリー
プロセスラインや熱交換器におけるファウリング・スケール対策によるプラント停止の機会損失を防ぐには、生産を一切止めずに汚れを防ぐ「最新のハイパワー超音波テクノロジー」が有効です。
AIソフトウェア制御と強力な超音波の物理的作用により、設備を改造することなく外付けで汚れを予防するこの技術は、「汚れを洗浄する」から「汚れない状態をつくる」への発想転換をもたらし、稼働率の最大化と環境負荷(CO2・薬剤)、現場の労務負荷の大幅な削減を同時に実現することが期待されます。
世界で数千億円の機会損失。「事後保全」型汚れ対策の限界
配管閉塞や汚れ(ファウリング)は、莫大な経済的損失を生み出す重大な産業課題です。ファウリングやスケール堆積は、GDPトップ10の経済圏で最大1,235億ドルの損失を引き起こしているとも言われ、主要先進国における熱交換器の汚れに起因する損失だけでも年間約5,500億円(1)、CO2換算で約8,800万トン(2)にのぼると報告されています。
出典:
(1) Minimize Fouling Maximize Profit, Halliburton Service, Hydrocarbon Engineering U.S.A. p59 (2019)
(2) H. Muller-Steinhagen etc. ,”Heat Exchanger Fouling: Environmental Impacts”, Heat Transfer Engineering Vol.31 p773-776 (2009)
プラントにおける熱交換器の汚れ防止対策(ファウリング対策)として、現在業界で導入されている主な手法は、設備を解体して行う高圧洗浄や化学薬品を用いた定置洗浄(CIP)です。しかし、日本の現場においてもこれらの「事後保全」には大きな課題があります。
現場が直面している事後保全の負荷は以下の通りです。
- 停止期間: 高圧洗浄の場合、洗浄作業のためのプラント解体により、数日〜数週間のライン停止と、それに伴う膨大な機会損失が発生します。特に、高単価製品である半導体工場において、プラントの停止は大きな痛手となり、以下にプラントの稼働率を高めるかが事業上も重要となります。
- 準備工数: 洗浄作業そのものに加え、事前の足場設置や養生などの段取り作業が、労務負担に拍車をかけています。
- 安全面の負荷: 化学洗浄には有毒ガスの発生リスク、高圧洗浄の場合は高圧水を用いた危険作業が伴います。
- 環境対応: 大量の薬剤使用と、それに伴う洗浄廃液の処理問題が環境への負荷を高めています。
- 設備への影響: 化学洗浄や高圧洗浄を繰り返すことで、配管や熱交換器等へ物理的・化学的ダメージが蓄積し、設備寿命が短縮する懸念があります。
「汚れを落とす」から「汚れない状態をつくる」へ。事後保全に代わる超音波防汚テクノロジー
一瞬の操業停止が莫大な機会損失を伴う現代において、「汚れたら洗う」というプロセスではなく、「設備を止めずに汚れの付着そのものを抑制する(連続防汚)」ことへ発想を転換するのが、超音波防汚テクノロジーです。
プロセスラインにおいて、スケール堆積による配管閉塞防止を達成するための有効な技術として、既存設備を改造することなく、配管の外側から振動子を取り付けるだけで機能します。
単純な洗浄コストだけでなく、安全性、労働力、機会損失、環境負荷といった多角的な軸で比較すると、「超音波による連続防汚」のメリットは明らかです。
| 比較軸 | 従来の事後保全(汚れてから洗う:高圧・化学洗浄) | 連続防汚(汚れを抑える:最新の超音波技術) |
|---|---|---|
| 機会損失(ダウンタイム) | 洗浄作業による生産ラインの停止、定修の増加による生産ロス | 設備を止めずに連続運転が可能。突発停止や洗浄による生産調整・機会損失が減少 |
| 安全面 | 高圧洗浄・化学洗浄に伴う危険作業、足場設置などの高所作業が発生 | 設備外付け・オンライン稼働のため、危険作業や薬剤使用のリスクが大幅に減少 |
| 労働人口不足への対応 | 足場設置、養生、洗浄作業など多くの人手と準備工数が必要 | 遠隔からの24時間監視と自動制御により、人手をかけずに防汚状態を維持 |
| エネルギーコスト・CO2削減 | 設備停止・再稼働時に多大なエネルギーを消費。 熱効率低下によるロス大 |
熱効率の維持によりエネルギーロスを防止。 再起動エネルギーや薬剤・排水処理の削減でCO2も低減 |
| 設備への影響 | 高圧洗浄や薬剤洗浄を繰り返すことによる設備ダメージや劣化の懸念 | 設備改造不要の外付け設置であり、設備自体への物理的・化学的ダメージを削減 |
なぜ「外付け」で「設備を止めず」に防汚できるのか?
最新の超音波防汚テクノロジーは、単に振動を発生させるだけではなく、金属や流体を伝播する「波」のエネルギーを最適制御します。さらに最新のソリューションでは、従来の超音波技術よりも強力な極低周波帯域(20kHz域など)のハイパワー超音波を、独自のソフトウェア(ビームフォーミング等)を用いて必要な場所に集中・制御させることができます。そのため、外付けでも汚れの付着を根本から制限する出力が得られるようになったのです。
超音波を配管外部から照射すると、主に以下の4つの物理的・化学的効果が引き起こされます。